うわっ!転勤の内示が出てしまった。でも、転勤を拒否できる正当な理由ってないの?
この記事では、そんな疑問にお答えします。
全国展開をしている会社で働く多くのサラリーマンは、転勤を避けることができません。
転勤を受け入れることでキャリアアップのチャンスにも繋がりますが、プライベートにも大きな影響を与えることとなります。
私も2~3年おきに転勤を繰り返していますが、もう転勤はしたくないですね。
そこで本記事では、転勤を拒否できる正当な理由について、転勤の内示を何度も撤回させた経験を持つ筆者が詳しく解説していきます。
「今の会社でがんばりたいけど、可能であれば転勤命令を断りたい!」そんなあなたは、ぜひ本記事を最後までご覧ください。
転勤を拒否できる正当な理由
基本的に会社側から転勤命令が出た場合には、従業員はそれに従う義務があります。
しかし、転勤を拒否できる正当な理由もあるため、あなたのケースでそれに該当するかを確認してみましょう。
就業規則に転勤の記載がない場合
就業規則に転勤の記載がない場合は、従業員には転勤を拒否する権利があります。
通常、転勤の条件が就業規則に書かれていないと、会社側は従業員と転勤の同意が得られていないと見なされます。
そのため会社側は従業員に対して、一方的に転勤を命じることが法的に許されていません。
就業規則に記載されていないことは、従業員は従う必要がありません。
もし転勤の辞令や内示が出された場合は、まず就業規則を確認して、転勤を拒否しても正当な理由に該当するのかを確認しましょう。
育児や要介護の家族がいる場合
従業員に育児や介護が必要な家族がいる場合には、転勤を拒否しても正当な理由と認められる場合があります。
日本の労働法では従業員の職務負担に配慮をして、働きやすい環境を提供することが求められています。
特に、小さい子供がいる場合や病気や高齢の親を世話している場合には、家庭の事情を会社に説明して会社に理解を求めてみましょう。
ただし、育児や介護が必要な状況であっても、転勤を拒否する正当な理由と認められない場合もあります。
会社側の職権乱用が明らかな場合
転勤命令が会社側の職権乱用であることが明らかな場合には、転勤を拒否する正当な理由とすることができます。
例えば、会社が従業員を不当に扱う目的で転勤を命じたり、個人的な理由で特定の従業員を転勤させる場合には職権乱用に該当します。
短期間に何度も転勤命令が出される場合も、会社側の職権乱用の一例と言えます。
もし職権乱用が疑われる転勤命令を受けた場合は、会社の人事部や労働基準監督署などに1度相談してみることをおすすめします。
実際に転勤を拒否できた時の理由
転勤の打診があった場合でも、まだ内示の時点であれば拒否することもできます。
ここでは、実際に私が転勤の打診を断った時の拒否理由をご紹介していきます。
転勤の間隔が短すぎる
転勤の間隔があまりにも短い場合には、転勤を拒否したとしても、その訴えは正当な理由であると認められる場合があります。
短期間の転勤は従業員と家族に大きな負担を強いることになり、身体的および精神的にも安定した生活を送ることが困難になるからです。
私自身、転勤直後に次の転勤命令が出された経験がありますが、「転勤の間隔が短すぎる」と訴えて転勤を回避することができました。
転勤3ヶ月後の転勤命令だったので、さすがに会社に対して訴えることにしました。
もし短期間で転勤命令が出された場合には、これを転勤拒否の正当な理由として主張することが可能となります。
直接上司に相談しても取り合ってもらえない場合には、会社の人事や労働基準監督署などに相談してみると良いでしょう。
大型受注が高確率で見込める状況
現在担当しているプロジェクトなどで大型受注が見込める場合、転勤を拒否しても正当な理由として認められる場合があります。
特にあなたがそのプロジェクトで重要な役割を担っているなら、転勤がプロジェクトに及ぼす悪影響を理由にできるからです。
私の場合では、年間売上を5倍以上に拡販できる案件を抱えていた際に転勤命令を受けました。
しかしプロジェクトの重要性と受注見込みの可能性を詳しく説明したところ、その際の転勤命令は白紙に戻されました。
その後、大型案件を無事受注し、新たな支店の立ち上げにも成功しました。
大型受注が見込めるなど会社にとっても利益に繋がる理由であれば、転勤を拒否する正当な理由として認められる場合があります。
入社前の話と異なる状況
入社前に説明を受けていた職務内容や勤務条件が実際と異なる場合、転勤を拒否する正当な理由になることがあります。
例えば、転職前には国内勤務のみと伝えられていたにも関わらず、突然の海外転勤が命じられた場合にはこれに該当します。
私自身のお話しをすると、深夜残業や徹夜がないことを条件に転職した会社が、実は早朝まで業務が続く職場でした。
さらに入社10ヶ月後に突然関西エリアへの転勤命令があり、面接時の話とあまりにも違いすぎると判断し、転勤を拒否して退職しました。
入社前の話と違いすぎたことに加えて、転勤命令が最後の一押しになりました。
このような状況では、入社前の説明内容と異なることを理由に、転勤を拒否しても正当な理由として認められることがあります。
正当な理由でも転勤を拒否すると会社に居づらくなる理由
転勤を拒否した理由がどれだけ正当なものであったとしても、会社には居づらくなります。
転勤を拒否したら退職を選ぶ人が少なくない理由について、以下にご紹介していきます。
上司や同僚の対応が冷たくなる
どれだけ正当な理由があっても、転勤を拒否した瞬間に自分に向けられる視線や人間関係が一気に冷え込むことがあります。
特に、転勤を打診してきた上司との関係性が悪化することが多く、以前のようなコミュニケーションが取りづらくなることが多いです。
さらに、ほかの同僚が代わりに異動することになれば、それまで良好だった同僚との関係性も悪化することが考えられます。
人間関係が悪くなると、仕事がやりづらくなったり、居心地の悪さも感じます。
その結果、職場の空気に耐えられなくなり、最終的に退職を選ぶ人も少なくありません。
会社から退職の圧力がある
転勤を拒否すると、会社側から退職の圧力を受けることがあります。
この圧力は転勤を拒否したことを職務規定を違反した従業員と見なされ、組織の規律を守る名目で退職を勧める圧力をかけてきます。
- 仕事の量を意図的に減らされる
- 昇給や昇格の機会を与えられない
- 職場内で意図的に孤立させられる
このような会社からの圧力を感じた場合、労働基準監督署に相談し、問題の改善を求めることも可能です。
ただし、問題の解決には相当な時間がかかることが予想されるため、最終的に退職を選ぶ人も少なくはありません。
成果を上げても評価を下げられる
転勤を拒否したことが原因で、上司からの信頼を失い、その結果として成果を上げても適正な評価が得られなくなることがあります。
また、周囲の社員に「転勤を拒否すると、昇進や昇格の機会が失う」というメッセージを送る手段にも利用されてしまいます。
転勤を拒否すると、組織全体の運営に悪影響を及ぼすと見なされてしまうからです。
そのため、転勤を拒否した場合には自己の評価を気にせず、後輩たちが先に昇進することを受け入れる必要があるかも知れません。
しかしながら、成果を上げても評価がされない状況に長期間耐えるのは難しくもあるため、最終的には退職を選ぶ人も少なくありません。
転勤を拒否するなら退職を覚悟しておいた理由については、関連記事でご覧いただけます。
よくある質問
転勤を拒否できる正当な理由に関する、よくある質問をまとめてみました。
転勤を拒否できる正当な理由とは?
育児や介護、会社側の職権乱用などが正当な理由に該当します。また、就業規則に転勤の記載がない場合も、転勤を拒否する正当な理由になります。
就業規則に転勤の記載がない場合、転勤を拒否できるのはなぜですか?
労働条件を記載した就業規則に転勤の記載がなければ、従業員は転勤について承諾していないことになります。就業規則に記載のない条件については、従業員は守る必要はありません。
転勤を拒否したら、会社から不当な扱いを受けた場合には?
就業規則に違反をしているため、昇給や昇進は見送られることは覚悟しておきましょう。ただし、退職を強制された場合には、労働基準監督署に相談してみても良いかもしれません。
職場の人間関係が悪化してしまった場合にはどうすればいいですか?
どうしてもその職場を続けたいのであれば、当分の間は我慢するしかありません。ただしハラスメントなどの嫌がらせを受けた場合には、人事部などに相談することをおすすめします。
転勤を拒否すると自分のキャリアに悪影響がありますか?
昇給や昇格が遅くなるため、あなたのキャリアに悪影響があることは間違いありません。キャリアアップをしたければ、転勤を前向きに捉えてみたり、転勤のない会社に転職しましょう。
さらに、転勤のメリット・デメリットや転勤族でも結婚できるの?という質問については、関連記事で詳しくまとめました。
まとめ
この記事では、転勤を拒否する際の正当な理由と、その結果として職場で生じうる不利益について詳しく解説をしてきました。
- 就業規則に転勤の記載がない
- 育児や介護が必要な家族がいる
- 転勤を利用した会社の職権乱用
私自身も、転勤の間隔の短さや大型受注の見込みを理由に、何度か転勤の内示を白紙に戻すことができました。
幸いにも私の場合は、転勤を拒否しても待遇面に影響はなく昇進もできました。
しかしこのような寛大な措置は、すべての会社に期待できるわけではありません。
正当な理由があったとしても、転勤を拒否したことで上司や同僚からの嫌がらせや退職の圧力を受けることもあります。
人事部や労働基準監督署に相談することもできますが、問題が解決するまでは冷静に耐え忍ぶことがしばしば求められます。
そのため転勤を拒否する場合には、正当な理由を持っていたとしても、場合によっては退職も覚悟の上で交渉した方が賢明と言えます。