営業職を辞めたいあなたへ|24年目の現役課長が伝えたいリアル

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営業職を辞めたいと悩むスーツ姿の男性が頭を抱えている。

「もう営業、辞めたい…」

月曜の朝、スマホのアラームが鳴った瞬間、そう思ったことはありませんか?

私は何度もあります。営業職24年目、現在は課長職として部下を抱える立場ですが、「辞めたい」と思った瞬間は数え切れません。

でも、辞めなかった。いや、辞められなかったのかもしれません。

この記事では、営業現場のリアルな悩みと、それでも続ける理由、そして本当に辞めるべきかどうかの判断基準を、現役課長の視点から本音でお伝えします。

「営業職を辞めたい…」そう感じたことがある方は、ぜひ最後までご覧ください。

目次

営業を辞めたくなる瞬間【現場のリアル】

「今月もう無理かもしれない…」そう思った経験、何回ありますか?営業職の苦しさは、経験した人にしか分かりません。

ここでは、多くの営業パーソンが共感する「辞めたくなる瞬間」を、現場の生々しい実態とともにお伝えします。

売上目標・ノルマが精神を削る

「今月あと500万足りない。どうする?」

上司からのこの一言で、週末の予定が全て吹き飛んだ経験、あなたにもあるのではないでしょうか。営業のノルマは、単なる数字ではありません。それは、あなたの評価であり、給料であり、時には人格まで否定されるような重圧になります。

達成できれば「当たり前」、未達なら「なぜできない?」と詰められる。この非対称性が、営業職のメンタルを確実に削っていきます。私自身、20代の頃は週2~3回徹夜仕事+土日も出勤で心身ともにボロボロの時期がありました。

特に辛いのは、自分の努力だけではどうにもならない局面です。市場の景気、競合の値下げ、顧客の予算凍結…外的要因で目標未達になっても、責任は営業が負う。この理不尽さは、何年経っても慣れません。

営業ノルマがいつも達成できない方は、関連記事「売上目標を安定して達成する5つの方法」をご覧ください。

上司と数字の板挟み

課長になって初めて分かったことがあります。それは、中間管理職こそが最も苦しい立場だということです。

上からは「数字を作れ」とプレッシャーをかけられ、下からは「無理な目標を押し付けるな」と不満を言われる。顧客には頭を下げ、部下には発破をかけ、上司には言い訳を考える。この三方向からのストレスは、想像以上に心身を消耗します。

特に苦しいのが、部下に無理なお願いをしなければならない瞬間です。「悪いけど、この案件、今月中に決めてくれないか?」そう言いながら、自分自身が一番「無理だろうな」と思っている。でも、言わなければならない。この自己矛盾が、営業管理職の日常です。

顧客都合で休めない現実

「すみません。急ですが明日15時、打ち合わせできますか?」

金曜の18時すぎに届いたこのメール。でも明日は両親の結婚記念日で、半年前から家族で予定していた日です。でも、この顧客を逃せば四半期の目標達成が危うい…。

営業職の最大のストレスは、自分の時間をコントロールできないことかもしれません。顧客の都合が最優先。週末も、夜も、時には彼女との時間さえも、商談のために犠牲にしてきました。

「働き方改革」という言葉が空しく響くのが営業職です。制度上は有休が取れても、顧客対応があれば出社せざるを得ない。数字が未達なら、誰も文句は言わないけれど、休みづらい空気が漂う。この見えない数字のプレッシャーが、徐々に心を追い詰めていきます。

営業職でもしっかり休日を休める方法については、「営業職でも休日出勤を回避する方法」に詳しくまとめました。

それでも営業を続ける理由

辞めたいと思いながらも、なぜ続けているのか。それは、営業職にしかない「価値」があるからです。

ここまで読んで「やっぱり辞めよう」と思った方も、この章だけは読んでから判断してください。

営業職の経験は、あなたが思っている以上に市場価値が高いのです。

営業でしか得られない“交渉力”

辞めたいと思いながらも24年続けてきた理由。それは、営業職でしか身につかないスキルがあるからです。

特に交渉力は、他の職種では絶対に磨けません。相手の本音を探り、Win-Winの着地点を見つけ、時には厳しい条件を飲んでもらう。この一連のプロセスを、年間何十回、何百回と繰り返すことで、人を動かす技術が体に染み込んでいきます。

この交渉力は、転職市場でも圧倒的に評価されます。実際、私が転職活動をした際に、面接官から「営業経験者は話の組み立てが違う」と高評価を受けました。プレゼン力、傾聴力、問題解決力…これらは全て、営業の現場で培われたものです。

さらに、営業は成果が可視化される職種です。売上という明確な数字で評価されるため、実績を転職時にアピールしやすい。「前年比120%達成」「新規顧客50社開拓」といった具体的な数字は、どの業界でも説得力を持ちます。

転職して後悔した同期の話

5年前、部下のTさんが営業職を辞めて、企画部門に異動しました。「もうノルマから解放される!」と嬉しそうでした。

でも、2年後に再会した彼は、意外なことを言いました。

「営業の方が良かったかもしれない」

理由を聞くと、企画部門では成果が見えにくく、自分の貢献度が分からない。会議と調整ばかりで、何かを成し遂げた実感がない。給料も、営業時代のインセンティブがなくなり、実質的に下がった…。

営業職は確かに辛い。でも、成果が見える喜びがあります。大型案件を受注した瞬間、顧客から感謝された時、目標を達成してチームで祝杯を挙げる瞬間…。この”達成感”は、営業でしか味わえないものです。

もちろん、Tさんのケースが全てではありません。転職して幸せになった人もたくさんいます。でも、「辞めたい」という感情だけで飛び出すと、後悔する可能性があることは知っておくべきです。

営業を辞めるべき人・残るべき人

「自分は営業に向いているのか?」この問いに、24年の経験から明確にお答えします。

向いていないなら早めに転職すべきですし、向いているなら今の苦しさは乗り越えられる可能性が高い。自分がどちらなのか、冷静に見極めてください。

向いていない人の特徴

24年間、100人近くの営業パーソンを見てきて、明確に「向いていない」と感じる人には共通点があります。

  1. 拒絶を個人攻撃と捉えてしまう人
    「結構です」と断られた時、「自分が否定された」と感じてしまうタイプ。営業では断られるのが日常です。この拒絶を客観的に受け止められないと、メンタルが持ちません。
  2. 数字へのこだわりが持てない人
    「売上なんて所詮は数字でしょ」と割り切れる人は、逆説的ですが営業に向いていません。営業は数字がすべて。その数字にプライドを持ち、こだわれる人でないと、モチベーションが続きません。
  3. ルーティンワークを好む人
    営業は毎日が変化の連続です。予定通りに進むことの方が少ない。「決まった手順で安定的に仕事がしたい」というタイプには、このカオスが苦痛になります。
  4. 心身に明確な不調が出ている人
    不眠、過度の飲酒、うつ症状、パニック発作…。こうした症状が出ているなら、迷わず辞めるべきです。仕事より健康が大切。これは綺麗事ではなく、真実です。

向いている人の特徴

一方で、「辞めたい」と思いながらも、実は営業に向いている人もいます。

  1. 人との関係構築が好きな人
    数字は苦手でも、「お客さんとの会話は楽しい」と感じる人。この感覚があれば、営業の本質を掴んでいます。売上は、信頼関係の結果だからです。
  2. 改善思考がある人
    「なぜこの提案は通らなかったのか?」と振り返り、次回に活かせる人。営業は失敗から学ぶ職種です。このPDCAサイクルを自然に回せる人は、確実に成長します。
  3. 競争心がある人
    「同期には負けたくない」「去年の自分を超えたい」という気持ちがある人。この健全な競争心が、苦しい時の原動力になります。
  4. 裁量を求める人
    「自分のやり方で結果を出したい」というタイプ。営業は、プロセスよりも結果が重視されるため、自由度が高い。この裁量を楽しめる人は、営業に向いています。

もしあなたが「向いていない人」の特徴に多く当てはまるなら、転職を真剣に考えるべきです。逆に「向いている人」の特徴があるなら、今の辛さは一時的なものかもしれません。

部署異動や営業手法の見直しで改善する可能性があります。

転職するなら“この準備”だけはしておけ

本気で転職を考えているなら、準備が全てです。

営業職としての経験を最大限に活かし、次のキャリアで成功するために、最低限これだけはやっておいてください。準備不足での転職は、ほぼ確実に後悔につながります。

自分の実績棚卸し

まず最初にやるべきは、これまでの実績を数字で可視化することです。

記録しておくべき項目

  • 売上実績(前年比、達成率、ランキング)
  • 新規顧客獲得数
  • リピート率・顧客満足度
  • 平均受注単価の推移
  • 大型案件の事例(金額、顧客名、提案内容)
  • 社内表彰・受賞歴

「なんとなく頑張ってきた」では、面接で評価されません。「入社3年目で前年比150%を達成し、部内トップの成績でした」という具体的な数字が、あなたの市場価値を証明します。

私もこの棚卸しをExcelでまとめたところ、「意外と成果出してたんだな」と改めて気がつきました。日々の忙しさの中で、自分の成長を見失っているケースは多いのです。

業界マップを理解する

営業職から転職する際、多くの人が陥る罠があります。それは、自分の業界しか見えていないことです。

営業経験は、ほぼすべての業界で活かせます。しかし、業界によって営業スタイル、評価制度、働き方は大きく異なります。

例えば、

  • IT・SaaS業界
    インサイドセールスとフィールドセールスの分業が進み、ワークライフバランスが比較的取りやすい
  • 製薬業界
    MRとして高収入が期待できるが、資格取得や医療知識の習得が必要
  • 不動産業界
    高インセンティブが魅力だが、土日勤務は避けられない
  • 人材業界
    対人スキルが活かせるが、景気の影響を受けやすい

転職サイトで求人を眺めるだけでなく、業界研究をしっかり行うこと。興味のある業界で働く知人に話を聞くのも有効です。「こんなはずじゃなかった」という転職の失敗を防げます。

転職サイト・エージェントの選び方

転職活動の成否は、誰に相談するかで大きく変わります。

総合型エージェント
(リクルートメント、dodaなど)
  • メリット
    求人数が多く、幅広い選択肢がある
  • デメリット
    担当者の当たり外れが大きい
  • おすすめ
    まず最初に登録し、市場感覚を掴む
特化型エージェント
(営業職専門、業界特化など)
  • メリット
    業界知識が深く、的確なアドバイスが得られる
  • デメリット
    求人数は限定的
  • おすすめ
    転職先の業界が決まっている人
ダイレクトリクルーティング
(ビズリーチなど)
  • メリット
    企業から直接スカウトが来る、年収アップが狙いやすい
  • デメリット
    実績がないとスカウトが来にくい
  • おすすめ
    30代後半以降、管理職経験者

重要なのは、複数のエージェントに登録し、比較することです。一つのエージェントの意見だけを鵜呑みにすると、視野が狭くなります。少なくとも3社は面談し、自分に合った担当者を見つけましょう。

また、エージェントに頼りきるのも危険です。彼らのビジネスモデルは「転職を成立させること」。あなたの長期的なキャリアよりも、成約を優先される可能性があります。

最終判断は、必ず自分で行いましょう!

ちなみに自己分析をしたいなら、ミイダスのコンピテンシー診断がおすすめ。あなたの職務適性や個性が数値化されるので、転職活動を始める前に必ず受けておきましょう。

よくある質問(FAQ)

営業職からの転職について、よく寄せられる質問に答えます。

営業を辞めたら、次に何の仕事が向いていますか?

営業経験者が活躍しやすい職種は、以下の通りです。

カスタマーサクセス/サポート職: 顧客フォローが得意だった人におすすめ。ノルマプレッシャーが少なく、関係構築スキルが活かせます。

マーケティング職: 顧客ニーズを理解してきた経験が活きます。デジタルマーケティングのスキル習得は必要です。

人事・採用職: 対人スキルとプレゼン力が直結。特に採用担当は「候補者を口説く」点で営業と共通します。

異業種の営業職: 業界を変えるだけで働き方が改善するケースも。「営業そのもの」が嫌なのか「今の環境」が嫌なのか見極めが重要です。

40代でも営業から転職できますか?

結論: 可能ですが、戦略が必要です。

40代転職成功のポイント

  • マネジメント経験を前面に出す
  • 同業他社への転職
  • 年収ダウンを覚悟(20〜30%減も)
  • 人脈を最大限活用する

40代は「即戦力」が求められます。全く新しい業界へのチャレンジは覚悟が必要ですが、管理職経験と実績があれば道は開けます。

転職活動中、上司や同僚にバレないようにするには?

バレないための実践的なコツ:

行動面

  • 有休の取り方を急に変えない
  • 昼休みに転職サイトを見ない
  • 社用PCで転職活動をしない
  • オンライン面接を活用する

態度面

  • 急にモチベーションを変えない
  • 「どうせ辞めるから」という態度を出さない
  • 転職の相談は社内の誰にもしない

最も注意すべきは、最終面接が近づいた時。気が緩んで無意識に態度に出やすいタイミングです。内定獲得まで「いつも通り」を心がけましょう。

営業を続けながら転職活動をするのは大変ですか?

正直に言います。かなり大変です。

時間捻出の工夫

  • オンライン面接を積極的に活用
  • 夜や土曜も対応可能な企業を優先
  • 有休を計画的に分散して取得
  • 「顧客訪問」を口実に時間確保

最も辛いのは、罪悪感との戦いです。「会社に申し訳ない」と「自分の人生だ」の間で揺れ動きます。この罪悪感を軽減するには、今の仕事を手抜きしないこと。全力を尽くせば、後ろめたさは最小限になります。

また、転職活動は3ヶ月〜1年かかることも。マラソンのつもりで、焦らず続けることが重要です。

まとめ|“辞めたい”気持ちは悪くない、でも行動は冷静に

「営業を辞めたい」

この気持ちを持つことは、決して悪いことではありません。むしろ、自分のキャリアを真剣に考えている証拠です。

24年間営業職を続けてきた私が、あなたに伝えたいこと。それは、「辞めたい」という感情と、「辞めるべき」という判断は別物だということです。

感情は一時的なもの。月末の追い込み、理不尽なクレーム、上司との衝突…そんな瞬間に湧き上がる「もう無理」という気持ちは、誰にでもあります。でも、その感情だけで人生の大きな決断をしてはいけません。

一方で、心身に明確な不調が出ている、何年経っても仕事が苦痛でしかない、家族との時間が完全に失われている…そんな状態なら、迷わず行動すべきです。仕事はあなたの人生の一部であって、全てではないのですから。

転職を考える前にやってほしいこと。

  1. 今の不満を紙に書き出す(感情を可視化する)
  2. 不満は、転職以外で解決できないか考える
  3. 信頼できる人(家族、友人)に相談する
  4. 3ヶ月間、本気で今の仕事に取り組んでみる

それでも「辞めたい」という気持ちが変わらないなら、転職を真剣に検討する時期です。ただし、勢いではなく、準備を整えてから。

最後に、あなたに問いかけたいこと。

「5年後、あなたはどうなっていたいですか?」

この問いに明確に答えられるなら、今取るべき行動が見えてくるはずです。それが「今の会社で営業を極める」、「新しい職種にチャレンジする」、「起業する」など答えは人それぞれです。

営業という仕事は、確かに厳しい。でも、あなたがこれまで培ってきたスキルと経験は、決して無駄ではありません。それは、次のステージで必ず活きてきます。

「辞めたい」という気持ちを、自分を見つめ直すきっかけにしてください。そして、後悔のない選択を。

あなたの人生です。誰のものでもありません。

応援していますよ!

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